Idea idea Support
アイデア発想支援
たぶん独創のアイデア発想法
~多層人格によるバイアスハズシ~
2018.6.15
はじめに
岡本光彰(愛称:岡光)と申します。1956年生まれ、バツ2独身独居のショボいヤツです。が、幼少の頃より考えることや創意工夫することが大好きで、いつしか自分はアイデアマンであると自負するようになり、老いさらばえても、この命尽きる最後の瞬間まで、そこんとこだけは死守したいと思っています。
今回、自分のアイデア発想法の一端を公開することになったのは、齋藤暢儀さんの呼びかけに応じてのことです。齋藤さんとは面識がなく、どのような方なのかほとんど存じません。が、「メイクマネー 起業家グランプリ2018」(NewsPics × dTV主催の番組、2018/3/25放送)に小細工を弄した戦略で応募して見事合格。プレゼンに挑んだところ、ホリエモンを初めとする6名の審査員からフルボッコ的質疑応答の洗礼を浴びて番組初の退場者になったという逸話が、かなり好ましかった。
さらに彼は、その逸話に触発された倉石大資さん(ベーシックインカム研究家)が主催する「しょぼいメイクマネー」というビジネスコンペにアクティヴに絡んだり。感心した。“災い転じてフック(hook)となす”思考と行動力に尊敬の念さえ湧いた。で、ついうっかり、目前に投じられた釣り針に引っ掛かってしまった次第です。
バイアスハズシ…序章
「はじめに」で述べましたように、僕はショボいヤツです。謙遜ではなく、ほんまにショボいんです。社会的地位も名誉も財産もない。本業はフリーのコピーライター&プランナーですが、収入はワーキングプアレベルよりちょっとマシな程度で借金も結構あります。
しかし最近、自慢できることができました。博報堂コンサルティングが展開するアイデア創出ネットワーク「Innovation Cloud(イノベーションクラウド)」のアイデアコンテストで、「シーズン総合1位2連覇(第4&第5シーズン)」「最優秀賞5連覇」「1テーマ入賞アイデア数最多(最優秀2+入賞4=6案入賞)」という輝かしい(よね?)成績を達成したのだ!!
実は、このコンテストの参加当初は空振りばかり…。アイデアマンを自負する僕は屈辱にまみれ、発想法に関する書籍を片っ端から読んだり、日々の情報収集に励んだり、神仏にすがったり、と、さまざまな努力を重ねた。そして、自分の発想力磨きに成功したのですが、振り返ればそのフォーカスポイントは“ほぼ、ひとつ”だと判断しています。
それは、“バイアスをハズす”こと。決して難しくない、というより誰にでもできるはず。いえ、断言しましょう。誰にでも、きっとできます!!
バイアスハズシ…その1「常識を疑いタブーを排除する」
ではさっそく、バイアスをハズすための具体的な方法を紹介していきます。ここでいうバイアスとは、アイデア発想の妨げになる先入観、思い込み、固定概念などのことです。いわゆるアイデア発想法には多種多様なものがありますが、どんな素晴らしい方法を用いてもバイアスがあるとその壁の中で思考が堂々巡りをしてしまい良いアイデアは浮かびません。
そこで、アイデアがなかなか浮かばなかったり、浮かんでもモヤモヤっとしてたりするときには、“自分の思考のプロセスに意図的に介入”してバイアス探しをします。そのコツは、タブーの排除。「常識とは、18歳までに身につけた偏見のコレクションのことを言う」(by アインシュタイン)。というわけで、まずはさまざまな常識を疑います。
なんでもあり!! というくらい心や脳が解放されたら言うことなしなんですが、そこまでいかなくても、日々常識を疑い、タブーを排除するように努めれば、心や脳が自由を得るというか、思考の回路が発達するというか、物事の見方・捉え方そのものが変化して、おのずと今までには浮かばなかったアイデアが発想できるようになります。
バイアスハズシ…その2「多層人格の育成」
とはいうものの、日々常識を疑い、タブーを排除するように努めるのはしんどい。そこでそれを楽しむ方法を考えた。画期的なヒントを得たのは、『人は、誰もが「多重人格」~誰も語らなかった「才能開花の技法」~』 (田坂広志(著) 光文社新書) という書籍。Innovation Cloudのアイデアコンテストで勝つために、片っ端から読んだ本のなかの一冊です。
僕の血液型はAB型で、「二重人格!!」と罵られることが多々あり(特に恋愛関係にあった女性たちから)、ある時とっさに「二重人格? たったふたつとちゃうわ!! オレは二十人分の人格を持つ二十人格じゃ!!」と言い返せたことをきっかけに、以降、二十人格者を標榜するようになったのですが、そんなこともあって田坂氏が啓蒙する「才能開花の技法」をすんなり受け入れることができた。
そして、心の中にある複数の人格を交代で呼び出して常識を疑ったり、タブーの排除をさせてみた。すると、ある人格にはできなかったことが、別の人格ならできたりして、おもしろい。飽きない。自己分析もできるので、一石二鳥。以降、多層人格の育成に励むことになったのです。
※“多重人格”という用語は、精神医学や心理学で人格障害を指すものなので、僕は“多層人格”と言い換えています。
バイアスハズシ…その3「オマエは誰だ!!」
多層人格育成の初めの一歩は、自分の心に存在する複数の傾向の各々をデフォルメして個別の人格とみなすことでした。例えば、自分の強気な面、弱気な面、頑張る面、怠け者の面などを一人の自分に統合されたものではなく、別の自分(自分に内在する多層の人格)として認識する。そして、何かを考えるときに、それら複数の人格を代わる代わる呼び出して思考させてみたのです。
異なる視点・視座等から考える、ということがよく言われますが、同じひとりの自分の発想には限界がある。ところが、自分の人格を細分化して設定した“別の自分(別人格)”を呼び出してみると、“どのヒト”も案外あっさりと異なる観点を示してくれました。
難しいのは、それら複数の人格のコントロールです。自分の思考のプロセスに意図的に介入する優秀なファシリテーターでもある総指揮官のような存在がいないと、複数の人格を使いこなせない。が、その総指揮官の育生には相当の“修行”が必要なようで、試行錯誤を重ねています。
ただ、そうした存在のタマゴを生じさせる簡単な方法は見いだしています。それは、自分の発想にバイアスがかかっていたり、思考がネガティブになってたりしていることに気づいたとき、「オマエは誰だ!!」と問うこと(オマエは誰だ!! と問うているオマエは誰だ!! とループさせるのもあり)。そこから課題の捉え方を転換させてバイアスをハズしたり、思考をポジティブにさせたりすることができます。やがて立派な総指揮官に育って行くであろう自分内ファシリテーターの姿も垣間見えてきます。
多層人格発想の威力
アイデアコンテストで最優秀賞、優秀賞、佳作をトリプル受賞!!
多層人格によるアイデア発想の最初の成功事例を紹介します。それは、この発想法の輪郭ができつつあった2016年8月下旬のこと。InnovationCloudのアイデアコンテストで、<コーヒーマシン」の浸透施策>というお題が出ました。で、さっそく試してみた。結果、最優秀賞、優秀賞、佳作の3賞を受賞したのだ(発表は9月下旬)。やったね!!
最優秀賞受賞案は、“親孝行&友人を大切にする僕(実際は親不孝だし友達いないし)”が発想した「専用キャリングケース」(秘匿義務があるため内容公表不可)。審査員評は、「コーヒーメーカーごともって外に出かけ、美味しいコーヒーをご馳走するという、まさに新しいコーヒーの楽しみ方の創造ですね」といったものでした。
優秀賞受賞案は、“コーヒー通の僕(実際はほぼインスタント愛飲)”が発想した「アレンジコーヒー用素材キットの開発・販売」。審査員評は、「ユーザーの“本音”に焦点を当てた納得感のあるアイデアだと感じました」というものでした。
佳作受賞案は、“アウトドア派の僕(実際はおおむねインドアで偶にアウトドア)”が発想した「どこでもカフェ・コンテスト」。審査員評は「コーヒーメーカーそのものではなく、コーヒーのある生活自体を訴求するという新しいアプローチ」といったものでした。
いやー、これイケるわ!! と、多層人格によるアイデア発想の可能性を実感。以降、その発想法に磨きをかけることになったのであります。
おまけ…その1
そんなことする?あほちゃう?な選択をしてみることの意義。
InnovationCloudのアイデアコンテストで最初に最優秀賞を獲得したのは2016年9月初頭、多層人格によるアイデア発想法のヒントをつかみかけていた頃のこと。お題は<「ローカルTV局(中京テレビ放送)」の未来に向けた新たな事業/ビジネスアイデアコンテスト>でした。この時は、最優秀賞と優秀賞をダブル受賞したのですが、最優秀賞受賞案は「職場と地域における多文化共生推進事業」(秘匿義務があるため内容公表不可)というものでした。
この最優秀賞受賞案の閃きは、2015年~16年にかけての自分史上最低の年末年始休暇から生まれました。その自分史上最低の体験とは…。愛知県西尾市在住の知人が古民家を地域コミュニティ施設に改装するってんで、休暇を利用して作業ボランティアに行ったんです。宿泊はその古民家。家屋建物ガッタガタ、すきま風びゅうびゅう、トイレ未配管で使えない(徒歩約3分のお堂のトイレを拝借)、風呂新設工事中等の劣悪環境で4泊5日、外壁塗装などをしました。
当時は還暦間近にして、なんでこんな辛い目を…と嘆いていたのですが、西尾市界隈には外国人労働者が多くて町中でしょっちゅう遭遇した。で、自然に中京エリア在住外国人がらみのビジネスアイデアが浮かんだのです。
いや、どんな体験でも活かせるってホンマやなぁと。特に、そんなことする? あほちゃう? といった選択をしてみるのが良い。発想力を磨くためなら、たとえ火の中・水の中、風よ吹け吹け、嵐よ吠えろ、天よ我に七難八苦を与えたまえ的な姿勢はたぶん必ず良い芽につながる!!(はずです)。
おまけ…その2
料理するべし
僕は55歳でこの世を去る予定でした。敬愛するフォークシンガー「ウディ・ガスリー(1912年7月14-1967年10月3日。モダンフォークの祖。ボブ・ディランに多大な影響を与えた)」が亡くなったのが55歳だったからです。ところが、光陰矢の如くで55歳を通過してしまい、しまった!! と後悔しはじめていた頃、素晴らしい女性占い師に「あなたの寿命、百歳越えよ」と鑑定され、ならば「長生きしたろやないか」と方針を転換したのです。
で、日々の食事、飲食物に気を遣うようになりました。また、アイデアコンテストで勝つことを目的に、脳に良い食べ物・飲み物・サプリメントなどを調べて積極的に採るようにもなりました。毎日自炊しています。外食は滅多にしません。
そこで改めて実感したのは、料理ってきわめてクリエイティブな行為だということ。計画力、段取り力、五感(視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚)等をフル動員します。手先もよく使います。料理をする人は料理をしない人に比べて認知症にならない確率が3.3倍という調査結果もあります。料理することは、発想力磨きにとても役に立つと思います。
おまけ…その3
カラダで思考する
長生きしてみようか、という人生の一大方針転換をしてから休日の過ごし方が変わりました。これまでの休みの過ごし方は、自宅に籠もって日がな一日レンタルビデオを鑑賞するってものでしたが、季節・天候に関係なく極力外出するようになりました。お金がないので近所のまだ訪れたことがない場所をポタリング(自転車散歩)したり、往復3,000円以内の公共交通圏域未踏の地(特に名所などなくても良い)を散歩するだけなんですが、新しい発見ができることが多いです。
昨年2017年秋には「王様の領地視察」という遊びを開発しました。散歩する地域を自分の領地と見做し(王様になったつもりで)視察するのです。「おう、我が民は健気に生きておるのう」とか、芳しくない環境を目にしたら「我が民のため、改善せねば」と嘆いたり。この遊びは多層人格育成の延長線上で閃いたものですが、王様ですから背筋を伸ばして堂々と歩きます。まなざしにも王の慈愛を込めます。すると、「ああ、カラダで思考するってこういうことか!!」ってのがわかったりします。
なるほど確かに、「思考と身体という二元論的な枠組みは便宜的な二項対立。実は思考も身体も人間という存在にとってはひとつのもの」(by 内田樹)。「脳も臓器のひとつ」(By 養老孟司)、だ!!
ちなみに今春、王様視察の真逆パターンである「乞食になって拾えるモノ探し徘徊」というバージョンも開発しました。これはどん底人生なんだけど何としてでも生き抜くぞ、というある意味サバイバルゲーム的な遊びですが、同じ場所を散歩しても王様と乞食では見える景色がまったく異なるので、おもしろい!!
補足…バイアスハズシの進捗度合いを確認する方法
~ヘンな夢を見ているか?~
多層人格をコントロールする総指揮官の育生には相当の“修行”が必要だと述べましたが、それだけでは言葉足らずかも。なので、“修行”をからめてバイアスハズシの進捗度を確認する方法について補足しておきます。
修行とは葛藤。悩みを伴う試行錯誤の繰り返し。なんか辛そう。でも、人が生きていく上で葛藤があるのは自然なこと。むしろ、成長や変化を指向する過程で生じる(能動的に招き込んだと言える)葛藤は大いに有意義。おお、葛藤しちゃってる!! と喜ぶべき。
そして葛藤は、睡眠中の夢によく反映されます。自覚できる葛藤はもちろん、無自覚な(無意識下の)葛藤も、夢では(具象の場合もあるが)主に何らかの象徴に仮託されて物語を紡ぎます。その物語の解釈は夢による精神分析で(夢占いも含めて)できるので、そこから修行のレベルや進み具合等を推し量ることができます。
問題は人の脳は夢で見た自分にとって都合の悪いこと(犯罪的なことや不道徳的なことなど)を起床覚醒後消去してしまうことなんですが、逆にそれでバイアスハズシがうまくいっているかどうかを知ることができます。ヘンな夢(エロ、グロ、ナンセンス、無秩序、無法等)をどれだけ見ているか(正確には起床覚醒後消去されず思い出せるか)で、バイアスハズシの進捗度合いを確認することができるというわけです。
ヘンな夢、バンザイ!! 眠りの中で見る夢も、目覚めているときに見る夢も♪
まとめ…カシコくなっちゃ、おしめえよ?!
発想力磨きのフォーカスポイントは、思考の壁となるバイアスをハズすこと、そして、バイアスハズシには多層人格によるアプローチが効果的であるということを、ご紹介しました。
無論、日々の情報収集(引き出しをたくさん持つ)、多種多様なアイデア発想法に学ぶこと、未知の(自分的に意外性のある)体験をしてみること、心身の健康に留意すること、カラダでも思考すること、神仏悪鬼悪魔等に祈願するほどの執念、ライバルに呪いをかけるといったなりふり構わぬドス黒さなど、も大切ですが、やはりバイアスハズシができないと、発想の翼を自由に羽ばたかせることは適わないと考えます。
そして、こうも考えています。カシコくなっちゃ、おしめえよ。いったん何かを理論化・体系化すると、その理論や体系に縛られがち(整合性を求めてしまう)。いくつになっても、アホっぽさを大切にしたい。
多層人格によるバイアスハズシ、ぜひ、お試しください。世の中を変えるような凄いアイデアは、浮かばないかも知れない。しかし少なくとも、あなたは確実に変わることができるはずです。
ではでは、全人類がアホっぽいアイデアマンになって、毎日を笑顔で楽しく平和に暮らせる未来を夢見て。
2018年6月2日 岡本光彰
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